自作フィギュア3回目になります。
今回は最高給粘土グレイスカルピー粘土(オーブン樹脂粘土)を使って「呪術廻戦」の七海健人ことナナミンを作っていきたいと思います。
粘土造形から着色まで4回に分けて作り方などを交えて製作工程をお伝えします。
2回目の自作フィギュア作りは石粉粘土でうる星やつらのラムちゃんを作っています。

もくじ
動画(ラフ描き・練習・ワイヤー人形・顔造形・身体造形)
ラフスケッチ(アイビスペイント使用)、油粘土での練習、ワイヤー人形作り、顔造形、身体造形、までの製作工程を動画に収めています。
画像や説明文で分かりにくい箇所は実際に作業している動画でもご確認ください。
1・素体に使用する材料・道具を用意します
今回の自作フィギュアに使用した主な材料や道具を紹介していきます。
グレイスカルピー粘土
自作フィギュアを作っている人の多くはグレイスカルピー粘土を使用している印象です。
粘土としてはとても高価な素材ではありますが、実際に使ってみると最高給粘土の名にふさわしくかなり使いやすい粘土です。
形崩れしない程度の硬さがあり、伸びが良く、きめ細かく、かなり細かい部分まで思う通りの形作りができます。
オーブンに入れるまでは固まらず、納得できるまで造形作業ができるので、自身の実力の最高値までクォリティを高めることができます。(果てしなく作業時間が過ぎることもあります笑)
固まった後でも、サンディングや、カッターや彫刻刀などで切削が可能で、粘土を盛って修正することが可能です。
この粘土のデメリットとしては、温度設定、時間設定のできるオーブンが必要なことと、加熱時に毒性のある蒸気が出るので、できれば食用のオーブンとは別に用意するほうが安全だと思います。
オーブンで固めた後の強度はさほど強くないので、固めのブラックチョコレート程度だと思って、繊細な場所ほど最後の方で作るのが良いです。
3ミリ以下の薄い厚さであれば、ヒートガンで温めて固めることができますが、加熱が不十分だと、バラバラに割れたり、ひび割れの原因にもなるので、加熱はしっかりする必要があります。
スカルピー粘土の表面を滑らかにする溶剤ツールクリーナー
水性ホビーカラーなどの塗料をエアブラシなどに使った際に使用するツールクリーナーです。
本来の使用方法とは違いますが、今回はスカルピー粘土の表面を滑らかにするために使用しています。
水性カラーの溶剤、メタノール、なども使ってはみたのですが、表面を滑らかにするという点で水性カラーのツールクリーナーが使いやすかったように思います。
石油系溶剤なので、換気を良くして使用しましょう。
強めのラッカー系の溶剤もありますが、溶剤の中でも毒性が強くなり防護マスクが必要になるので、こちらにします。
石粉粘土

ラドールの青いラベルの軽いタイプの石粉粘土です。
こちらの粘土でフィギュアを作ったことはないのですが、きめ細かく伸びもよいです。
赤ラベルのものよりも軽さがあるので、細い部分が重さで割れたり、折れたりすることは少ないかもしれません。
今回はコストを考えて台座に使用しています。
エフェクトにも使いましたが、台座に使うにはもったいない印象でした。
2ミリのアルミワイヤー
骨組みとなるワイヤー人形を作るのに2ミリのアルミワイヤーを使用しました。
2ミリあるとしっかり目の芯になるし、曲げてポーズをつけても、しっかり固定できます。
ステンレススパチュラセット
おなじみステンレス粘土ヘラスパチュラのセットです。
よく使うスパチュラは1~2本程度になってきますが、繊細な造形には欠かせません。
自作フィギュアでは、目、まぶた、鼻、口、眉毛などの顔などのパーツづくりには細かい作業のできるスパチュラは必須です。
道具一つで自作で作るフィギュアのクオリティが一気に跳ね上がるので、ステンレススパチュラセットはおすすめです。
25Lオーブンレンジ
私自身はこちらの中古オーブンを購入して使いました。
シンプルな機能ですが、予熱と温度設定ができて、タイマーのあるタイプのものであれば十分です。
また、庫内の広さ17Lと25Lタイプを迷いながら選びましたが、フィギュアを分割せずに作ったため全長が長くなったので、25Lタイプを選んで良かったと思います。
フィギュアを分割して作るなら17Lでも良いと思います。
トースターで加熱する方もいますが、全体が均等に加熱されないまま固まってしまうと、割れやすくなったり、焦げついたりするので、おすすめしません。
思い切って粘土専用に購入したので、オーブン粘土やスカルピー粘土はこれからもどんどん使っていきます笑
ミニヒートガン
スカルピー粘土の薄い部分を固めるために購入しました。
ドライヤーに似ていて、熱い熱風を出せるヒーターです。
スカルピー粘土のようなオーブン粘土を固めたり、その他、レジンの泡消しや、レジンの造形などに使用されています。
オーブンではフィギュアの本体部分を焼き固めて、細かいパーツや、洋服の薄い部分はヒートガンで固めるなど、用途別に使うと時間の短縮にもなるので、ヒートガンもあると便利です。
ドライヤーでは風が強すぎて、温度が低いのでドライヤーでの代用は難しいと思います。
熱風が出るので、やけどや、物が焦げ付く、もしくは物が燃えるリスクがあるので、取り扱いはかなりの注意が必要です。
その他色々
アルミホイル・糸・ボンド・ナイロン筆など使用しています。
では材料が用意できたところで、自作フィギュア製作開始です!
2・ラフスケッチをして造形するイメージを理解します

まずは、ナナミンのラフスケッチをします。
全身を紙で描かなかったのですが、髪型が分かりにくかったので、理解できていない部分の前、横、後ろ方向から見た絵を角度を変えてスケッチしました。
あとはフィギュアを作りながら、ネットで検索した画像を色々見ながら作っていきました。
3・油粘土で練習します

作ると決めたものの、自信がないので、油粘土で練習です笑
渋めの顔本当に作れるの?とか頬の感じやあごのライン、髪型、目をどこまで作りこむのかなど、ざっくりと作ってみます。
こういうウォーミングアップって力みが取れるので、作業に入りやすくもなるのでとても良いです。
練習したうえで、改善点なども見えてくるので、本番の粘土制作に活かすことも可能です。
4・ワイヤー人形を作ってポーズを決めます





ワイヤーを人型に配置して、糸で結んだ上にボンドで固定して、ナイロンテープを巻きます。
出来たワイヤー芯の上に胴体となる部分に細長く切ったアルミホイルを巻いていきます。
アルミホイルを巻くのは粘土の節約にもなるのですが、全体の身体やポーズのイメージもつかみやすくなります。
アルミホイルを巻いたあとはボンドをつけますが、ここはあまり必要なかった気もします。
ワイヤー人形の段階で、関節の位置で曲げて、ポーズをつけていきます。
大切な骨組みとなるので、身体の左右は均等かどうか、関節の位置のチェック、そして男性モデルなので肩幅は大きめに、骨盤の幅は肩幅より小さめにするなど、女性モデルとの身体の作り方の違いを意識します。
5・肉付きが左右対称になるよう粘土を盛る


いよいよ粘土をアルミホイルの上から盛っていきます。
肩幅が均等か、両手足の長さ大きさは同じになっているか、など、バランスを意識して盛っていきます。
ちょっとした違和感を放っておくと後々バランスが崩れてくる原因にもなるので、直しておきましょう。
6・筋肉を意識して作ってみます


人体筋肉図を見ながら練習するつもりで筋肉も付けてみます。
こういうところは絵を描くよりも立体で作るほうが楽な気がしてきます笑
服を作れば見えなくなる部分ですが、こういった人体モデルをデッサン用に作っておけば絵を描くときの苦労が減るかもしれません笑
寄り道をしましたが、自作フィギュアを作るうえで、全体に服を着せる場合は筋肉を作る工程は省いても良いですね。
7・顔の造形で目、鼻、口、まぶた、眉毛などのパーツを作ります



一度目に作った顔は大きくなりすぎてしまい、こちらは2度目の工程です。
頭全体を作って、目を大きく窪ませて頭蓋骨のような形を作り、そこから眼球を入れてまぶたや唇などのパーツを盛って、形成してなじませていきます。
左右対称かどうかのチェックは正面から見るだけでなく、逆さにして見るなどして、左右対称になるように整えます。
頭全体を作ると、指で押さえている粘土の部分が凹んでくるので、このやり方は難しいです。
もう少し粘土が固くても良い感じです。
私自身のクセで頭のてっぺんが低くなってしまいがちなので、目の位置をもっと下に意識する必要があります。



まぶたや眉毛の造形ができると、原始人から人の顔へ変わりキリっとした顔つきになります。
あごのラインから耳にかけての造形が今まで分かっていなかった部分があり、自分の顔を触ってでっぱりなど確認しながら造形します。
8・手指の造形をします


実際指にワイヤーを入れるか迷いましたが、何もなしに作ることにしました。(後に折れることになる)
5本の細長い棒を作って、指の付け根あたりから下の手の甲と腹の粘土を挟んで手の部分を作りました。


腕につけてはみたもののかなり手が大きいです。
手の部分は顔の3分の2程度の大きさになると全体のバランスが取れます。
手指は小さいのでなかなか造形するのが大変ですが、スパチュラを駆使して関節なども曲げていきます。
後ほど手のパーツが折れたのですが、その時に大きさを修正しました。
指はやはり折れやすいので、細めのワイヤーを入れた方が良さそうです。
武器を持つ手は、爪楊枝の上から粘土を盛って、関節の溝を作ります。
これで裸の状態の造形が完了したので、いったん粘土を固めることにします。
9・オーブンを130度に設定して45分間じっくり熱して固めます

スカルピー粘土は6ミリの厚さにつき130度で15分間熱する必要があります。
頭部分の厚みが2センチ程度あるので、130度で45分間加熱します。
オーブン内は左右両脇から温風が吹き付けるので、アルミホイルをかぶせた方が均一に温度が上がる気がしたので、なんとなくかぶせてみます笑
頭のパーツもアルミホイルの上から粘土を盛るようにすれば、オーブンに入れる時間も短縮できるように思います。
加熱が終了した直後で温かいうちは、粘土はまだ柔らかいので、常温になるまでなるべく触らないように気を付けます。
造形がうまくいっても、ここで台無しにしてしまっては悲しいですからね。
スカルピー粘土素体完成までのまとめ
1・材料や道具を用意する。
グレイスカルピー粘土(オーブン粘土)、アルミワイヤー、アルミホイル、オーブン、ヒートガン、台座に石粉粘土、細かい造形にはステンレススパチュラなどを使う。
2・理解できていない部分のスケッチをする。
3・油粘土で練習をすることで改善点や、次の作業の敷居を下げることができる。
4・ワイヤー人形を作って関節を曲げてポーズをつける。
5・ワイヤー人形に粘土を巻き付けていき、身体、腕、足の長さや太さを均等にしたり、全体のバランスを整える。
6・人体の筋肉解剖図などの資料を見ながら、筋肉を意識して造形する。
7・顔の造形は頭蓋骨のような形から目や鼻、まぶた、口などのパーツを作っていく。
8・手指は顔の3分の2の大きさを目安にして、4本の棒に粘土で手の甲や腹部分を挟んで造形する。
9・130度に予熱したオーブンに入れて粘土を固める。(厚さ6ミリにつき約15分熱する)
ここまでの作業は男性モデルであれば誰にでも適用できる範囲内だと思います。
がっつりと詳しい作り方の説明はまた別の機会にするとして、作業動画が少しでも参考になれば幸いです。
次回パート2は洋服のパンツやシャツ、靴や髪などを作る工程に入ります。
