フィギュアを作るときにどんな粘土を使い、どんな道具があれば良いのかが分からないときに、私が1年間フィギュアを作ってきた中でこれがあれば便利!と思える基本となる粘土、材料や道具を紹介します。
もくじ
フィギュア作りに使える粘土の主な4種類
石粉粘土(空気乾燥)

プロの造形師も使うことのある値段が安く空気乾燥で固まる安全性の高い粘土です。
きめ細かい粘土を使えば繊細な表現が可能です。
固まった後でも容易に切削したり、水をつけて形を調整しながら造形できます。
小さなパーツは早く固まるため、納得のできない形で固まることが多く、慣れていないと修正などにかなりの時間がかかります。
手に粘土が付いてくるため、定期的に手を洗う必要があります。
同じ石粉粘土でもきめの細かさ、重さ、強度に違いがあり、使い勝手も違ってくるので、自分に合った粘土をいくつか使いながら探すことになると思います。
個人的な主観になりますが、初心者には向かないとまでは言わないですが、納得できるまでの修正作業が延々と続くため、挫折してしまう要因にもなりうると思います。
赤ラベルの粘土が品薄状態で、青ラベルのラドールシリーズのプレミックスです。
粘土の軽さや強度がそこそこあり、仕上がったときの石質は優しいオフホワイトです。
使い心地が柔らかく滑らかで、伸びがよく、薄く固まった状態でも、ある程度の強度があります。
きめ細かさは若干落ちるものの、そこそこの強度があり、軽くなりすぎない重量、扱いやすさの面で考えると、フィギュア作りには向いている石紛粘土だと思います。
ラドールシリーズのプレミエは赤ラベルのラドールよりも40%軽く、強度も最高レベルの石紛粘土です。
硬化後も切削研磨に優れていて、乾燥後の石質の白さも高いです。
触り心地も滑らかでやわらかく、硬化後はかなりの強度があります。
重量のある石紛粘土に慣れていると、軽すぎて慣れが必要かもしれません。
重量があると、小さいフィギュアしか作れませんが、軽くて強度があるということで、少し大きめのフィギュア作品も作れそうです。
きめが細かく伸びがよく強度もある高級石紛粘土です。
フィギュアはもちろん、三つ編みやバスケット精密な作品制作も可能です。
ラドール粘土に比べると、伸び方やコシの違いがあり、しわが出たりして扱いづらいと感じるかもしれません。
1センチ程度の厚さでも完全に乾くのが遅く、1週間程度かかります。固まるまでの時間が長いのであれば、造形に時間をかけられるということでもあるので、乾くのが早くて困る人には向いている粘土とも思います。
水の加減や粘土に慣れていくことでフィギュアの精密描写が可能になっていくのだと思います。
グレイスカルピー粘土(オーブン焼成粘土)

プロやアマチュアでも人気のあるオーブンなどで熱を加えて固めるタイプのグレイスカルピー粘土です。
値段は粘土の中では一番高価ですが、精巧な造形描写が可能です。
キメが非常に細かく、固めるまでは納得のいくまで造形することができます。
固まった後からでも、ヤスリがけやカッターで削ることなどが可能です。
油粘土を硬くしたような触り心地の粘土です。
オーブンなどで均一に熱しないとかなり脆くなるので、オーブンは必要です。
粘土の値段のハードルが高い上にオーブンが必要なのですが使ってみると、「思った通りに造形できる」と思える粘土です。
初心者の方でも挫折しづらい粘土なので、習い事をするつもりで初期投資してみるとよいかもしれません。
粘土としては非常に高級なものですが、非常に精巧な作り方ができるので、高くても売れている粘土です。
樹脂粘土(空気乾燥)難易度高め

空気乾燥するタイプの樹脂粘土です。
アクリル絵の具などを混ぜて粘土に着色することができるので、着色の手間が省けます。
基本的にはやり直しのできない粘土なので、ある程度フィギュアを迷わず作れる人に向いています。
乾燥して固まったあとはかなり丈夫で、弾力性もあります。
軽量樹脂粘土(空気乾燥)

乾燥後はマシユロのような感触でフワフワと軽く弾力のある粘土です。
粘土に着色もできます。
樹脂粘土と同様でやり直しのできない粘土です。
形成後に凹ませた部分が乾燥中に浅くなるものもあります。
フィギュアというよりはマスコットキャラクターや小物などに向いていると思います。
樹脂粘土と混ぜて使うこともできます。
乾燥後は修正は出来ないので、慣れが必要です。
粘土版・カッティングマット

デスクを汚さないために粘土用のマットはあったほうが良いです。
カッティングマットはマットの上から粘土をカット出来るので便利です。
粘土を薄く伸ばしても、綺麗に剥がれないことが多いので、粘土を薄く伸ばす場合はクリアファイルを使うようにします。
下絵の紙・好きなキャラクターの印刷物

フィギュアの設計図のようなものになるので、紙に描くときは実寸大で描きます。
ネットで参考にする画像は、なるべく全身の見える立ち姿のものを使って作りたい大きさに印刷します。
ワイヤー人形を作る際に画像をもとに長さや曲げる位置、関節の位置、などを決める指標になります。
粘土造形の際も各パーツの大きさや太さを確認しながら下絵に合わせて作ります。
ワイヤー人形

下絵に合わせてワイヤー人形を作ります。
2ミリ程度のアルミワイヤー・糸・ボンドなどでワイヤーを固定しながら作ります。
ワイヤーを使用する場合は、分割しながら作ることには向いていないので、全身をつながった状態で作ります。
ポージングにはデッサン人形(アクションフィギュア)の男女ペアセットを使うことで完成度が爆上がりする
フィギュアを作るときに、絵を用意するだけでは思うように造形できないことがあります。
ポージングや造形のイメージがうまくできないときはデッサン人形を使います。

デッサン人形は漫画家やイラストレーターなどの多くのクリエイター達の必須ともいえるアイテムです。
男女ペアなので、男女の体格の違いなども一目瞭然です。
アクションフィギュアのように関節がかなり細かく分かれていて、思った以上にアクションシーンなどの人間らしいポーズを作ることができます。
デッサン人形でポーズを固めてから、それを参考にワイヤー人形でポーズを真似ることで、フィギュアのリアリティや不自然さがなくなり完成度が爆上がりするのです。

かなり適当ですが剣を持って構えているようなポーズです。

謎のお色気ポーズですが笑、足も腕もしっかり曲がります。
無理に曲げたりひねったりしすぎると壊れるのでほどほどにしましょう。
もちろん人間にはできるけど、デッサン人形にはできないポーズもありますが、そこはアレンジしていきます。
立体物を作るのに立体物を参考にできるのはフィギュアを作るクリエイターにとってはデッサン人形は完成度を高めるための助けになると思います。
男性モデル:約14.5㎝ 女性モデル:約13.5㎝。
付属小物:刀、銃、ペン、パソコン、タブレット、携帯電話、スマートフォンの7点。
手の付け替えパーツ・男性モデル11種、女性モデル9種類。
スタンド台、固定アーム付き。
バンダイのメーカーとは違うのでそこは注意してください。
デッサン人形なので、フィギュアとしての完成度を求めないようにしましょう笑
購入をしてはいけない木製のデッサン人形
デッサン人形で購入をおすすめできないものは木製のデッサン人形です。

理由は、体形が男性か女性かもわからないところや、可動域がせまく、思うようなポージングにはなりません。
また、股下の位置の勘違い、足の付け根の関節の位置を勘違いしてしまいがちなので、安さに飛びつかないようにしましょう。
マンガやイラストを描いていた時は木製のデッサン人形を参考にしていたため、人体構造の間違った理解をしたままの状態が何年も続き、上達の妨げになっていたように思います。
立ち姿を参考にする程度なら良いかもしれませんが、これを買うくらいなら人体構造の分かる本を購入する方が良いと思います。
スパチュラ・粘土ヘラ・伸ばし棒・シリコン筆

スパチュラはフィギュアの完成度を高めるためには欠かせない道具です。
手や指で作るには限界があるので、繊細で細かい部分を造形することができます。
粘土を足したときになじませたり、慣れてくれば目の造形や髪の毛、服のしわ、などをうまく作っていけます。
基本となるスパチュラセットを購入したら、色々試して使いながら、自分好みのスパチュラが厳選されていきます。
他に必要なものが出てきたら買い足したり、自作するのも良いです。
最近は弾力があって曲がるシリコン筆も粘土に対して扱いやすく、表面を綺麗に保ったまま、溝などを作ることもできます。
材質はステンレス製のものやプラスチック製のものがおすすめです。中には金属製のものでもメッキが剝がれると錆びついてくるものがあるので、使えなくなるものもあります。
粘土ヘラの代用品色々

スパチュラなどを買わない場合でも、自宅にあるものである程度の代用は可能です。
つまようじ・竹楊枝
木製なので先端がへたりやすいですが、かなり色々使えます。小道具の芯材にも使えるので、多様な使い方ができます。
スプーン・バターナイフ・コーヒー用マドラー
粘土用スパチュラとして十分に活用できると思います。粘土用として開発されていないのでもどかしさもあります。
プラスチック箸・筆の肢部分
粘土のうえで転がして形を整えたりするのに便利です。先端部分で小さいくぼみを作ることも出来ます。
アイスピック・目切り
つまようじと同じく細いラインを作ったり、細かい溝などをつくることができます。
プラスチックストローなどの先端を切って自作する
材質が厚めのストローの先端をカットして、自作してみるのも良いと思います。
カッター

使用頻度は非常に高く、薄く伸ばした粘土をカットしたり、乾燥後の粘土の造形に使用します。
デザインナイフは使用頻度が高いです。
カッターでラインを作ったり、寝かせたりしてスパチュラのようにして使うこともできます。
ニッパーセット(ニッパー・丸やっとこ、平やっとこ・ペンチ)

ワイヤー曲げ・ワイヤーのカット・粘土やワイヤーの固定・バリ取りなどに使用できます。
とりあえず、ニッパーとペンチがあれば十分だと思います。
ピンバイス(ミニドリル)

フィギュアの分割部分や台座の穴あけ作業に使います。
フィギュアに穴を開けてワイヤーを埋め込んで、粘土とワイヤーをつなげることができます。
フィギュアを作っていると何かと小さな穴を空ける機会が多いので、ピンバイスがあると便利です。
筆(基本的には安いナイロン筆で良い)

石粉粘土では、水をつけた筆で表面を整えることができます。
スカルピー粘土では、筆に溶剤を付けて表面処理に使うことができます。
アクリル絵の具や水性ホビーカラーでの着色にも使用します。
石油系の溶剤を使うとパサついたり変形しますが、使い捨て感覚で使っています。
サンドペーパー

乾いた粘土の表面の切削研磨に使うことができます。(石粉粘土・スカルピー粘土)
表面をつるつるに切削研磨することで、フィギュアの完成度を高めることができます。
やすりがけの道具(紙やすり・スポンジヤスリ・ダイヤモンドヤスリ(金属ヤスリ)・ミニリューターについてはこちらでも紹介しています。

その他あると便利なもの(自宅にあるもの)

アルミホイル
ワイヤー人形に巻き付けて粘土の芯材として使うことができます。
ワイヤー人形のポーズを固定したり、粘土の節約、熱を加えても問題ありません。
ラップ
粘土をラップで包んで乾燥を防ぐことができます。
粘土同士をくっつけたくない場合に間に挟んで使ったりもします。
ZIP袋(密封袋)
粘土の密封保管に便利です。
粘土を長期保管する場合は、ラップで包み、袋に入れる際に水分を含ませたティッシュを一緒に入れて保管します。
タッパー・密封容器(お弁当箱・食品保存容器)
粘土の一時保存、長期保存に使用します。
石粉粘土や樹脂粘土などの空気乾燥粘土を使う時に、粘土を容器に入れて、少しづつ取り出して使います。
密封型のお弁当箱や食品保存容器で、粘土別に保存しておくと便利です。
必要なものから少しづつそろえると良い
フィギュアを作るための粘土・材料・道具を基本的なものを紹介しました。
とりあえずは、下絵・粘土・スパチュラ・密封容器があれば、フィギュア作りを始めることができます。
ここで紹介したものは一気に全てをそろえる必要はなくて、不便だな、欲しいなと思ったものから少しづつ集めていくとよいと思います。